「ITエンジニアになりたいけれど、やめとけという声が多くて迷っている」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
需要が高く将来性のある職業として人気を集める一方で、ネット上には厳しい意見も散見されます。
この記事では、ITエンジニアがなぜ「やめとけ」と言われがちなのか、その客観的な理由を業界の構造から解説します。
- ITエンジニアが「やめとけ」と言われる理由
- ITエンジニアに向いている人の特徴
- ITエンジニアに向いていない人の特徴
- ITエンジニア適性チェックリスト
この記事を読めば、自分がIT業界で長く活躍できる素養を持っているかどうかがわかります。
ITエンジニアとはシステムを構築する仕事

ITエンジニアとは、情報技術(IT)を活用して、コンピュータシステムやソフトウェアの設計、開発、運用、保守を行う技術者の総称です。
私たちが普段使っているスマートフォンアプリから、企業の業務効率化システム、インターネットの基盤となるサーバーやネットワークまで、現代社会に欠かせないあらゆるITインフラを支えています。
仕事内容は多岐にわたり、プログラミング言語を用いてシステムを作る「プログラマー」、システムの全体設計を行う「システムエンジニア(SE)」、ネットワークやサーバーの構築・運用を担う「インフラエンジニア」など、専門分野は様々です。
どの分野においても、論理的な思考力と、日々進化する技術をキャッチアップする姿勢が求められます。
ITエンジニアがやめとけと言われる理由

ITエンジニアがなぜ「やめとけ」と言われがちなのか、その構造的な理由を解説します。
長時間労働や休日出勤が発生しやすい
ITエンジニアの仕事は、納期(リリース日)が厳格に決められているプロジェクトが多く、開発の遅れを取り戻すために残業が発生しやすい傾向があります。
特に、システム稼働前のテスト期間や、予期せぬ不具合(バグ)が発生した際には、原因究明と修正のために深夜まで作業に追われることも珍しくありません。
また、インフラエンジニアなどの場合、システムを止めることなくメンテナンスを行うため、ユーザーの少ない深夜や休日に作業するケースもあります。
このように、時期によっては長時間労働や不規則な勤務が発生しやすいため、「きつい」と言われる要因となっています。
多重下請け構造による待遇の格差
日本のIT業界は、大手企業が受注したシステム開発案件を、中堅・中小企業へ、さらにその下の企業へと委託していく「多重下請け構造」が一般的です。
この構造の下層(二次請け、三次請けなど)に位置する企業で働く場合、利益が中抜きされるため給与水準が低くなりやすく、また、上流工程(設計など)に携わる機会が少なく、テストや運用保守などの単調な業務ばかりを任されるケースがあります。
同じ「ITエンジニア」という肩書きでも、所属する企業の位置づけによって待遇や労働環境に大きな格差があることが、「やめとけ」という声に繋がっています。
常に新しい技術を学び続ける負担
IT業界は技術の進歩が非常に速く、数年前に主流だったプログラミング言語やツールが、あっという間に時代遅れになることも珍しくありません。
そのため、ITエンジニアとして価値を提供し続けるためには、業務時間外であっても、技術書を読んだり、個人でアプリを開発したりして、自己研鳽を続ける姿勢が求められます。
「仕事が終わった後や休日は、一切勉強したくない」という人にとって、この絶え間ない学習の負担は大きなストレスとなります。
ITエンジニアに向いている人

厳しい面もある一方で、この仕事で大きく活躍できる人の特徴を解説します。
論理的思考力があり課題解決を楽しめる人
プログラミングは、コンピュータに対して「どのような手順で処理を行うか」を正確に指示する作業です。
そのため、複雑な問題を細かく分解し、道筋を立てて考える論理的思考力(ロジカルシンキング)が不可欠です。
システムにエラーが発生した際、「なぜ動かないのか」「どの部分のコードに問題があるのか」を仮説を立てて検証し、解決に導くプロセスを「パズルのようで面白い」と感じられる人は、ITエンジニアとしての適性が非常に高いと言えます。
知的好奇心が旺盛で継続的に学習できる人
前述の通り、ITは常に新しい技術が生まれ続けている業界です。
この環境変化を「負担」ではなく「新しいことを学べるチャンス」とポジティブに捉えられる人は、エンジニアに向いています。
「この新しいツールを使えば、もっと効率的に開発できるのではないか」「最新のAI技術を自分のプロジェクトに組み込んでみたい」といった知的好奇心を持ち、自発的に学習を続けられる人は、技術者として高く評価され、キャリアアップの機会にも恵まれます。
チームでの円滑なコミュニケーションができる人
「エンジニアはパソコンに向かって一人で黙々と作業する仕事」というイメージを持たれがちですが、チームで協力して一つのシステムを作り上げるのが実態です。
顧客の要望を正確にヒアリングする力、自分の設計意図をチームメンバーに分かりやすく説明する力、そして進捗状況を適切に報告・相談する力など、円滑なコミュニケーション能力が求められます。
周囲と協調しながらプロジェクトを進められる人は、プロジェクトマネージャーなど上流工程へのキャリアパスも開けやすくなります。
ITエンジニアに向いていない人

以下のような特徴を持つ人は、仕事の特性上、難しさを感じやすい傾向があります。
わからないことを自分で調べるのが苦痛な人
開発現場では、マニュアルに載っていないエラーや、これまで経験したことのない課題に直面することが日常茶飯事です。
そのような時、まずはエラーメッセージを検索し、公式ドキュメントや技術ブログを読み解いて自力で解決策を探る姿勢が求められます。
「誰かが手取り足取り教えてくれるまで動けない」「自分で調べるのが面倒で苦痛」という受け身の姿勢の人は、業務についていくのが難しくなります。
大雑把で細かい作業にストレスを感じる人
プログラミング言語は、たった一文字のスペルミスや、記号の抜け漏れがあるだけで、システム全体が動かなくなってしまうほど厳密なものです。
そのため、コードを記述する際や、テストを実施する際には、細部まで注意を払う緻密さが求められます。
「だいたい合っていればいいだろう」という大雑把な性格の人や、地道な確認作業に強いストレスを感じる人は、重大なバグを見逃してしまうリスクがあり、難しさを感じやすい側面があります。
変化を好まず決められた手順だけをこなしたい人
IT業界は技術だけでなく、開発手法やプロジェクトの進め方も頻繁に変化します。
「一度覚えた手順を、ずっと同じように繰り返すだけの仕事がしたい」「新しいツールやルールを覚えるのは嫌だ」というように、変化を好まない人にとっては、常にアップデートが求められるエンジニアの環境は居心地が悪く感じられる側面があります。
「向いていないかも」と感じた時の考え方

きつさの理由が「環境」なのか「仕事そのもの」なのかを切り分ける方法を解説します。
環境が合わないなら自社開発企業へ転職
「下請け案件ばかりで給与が上がらない」「客先常駐で帰属意識が持てない」といった悩みの場合は、今の会社のビジネスモデル(多重下請けのSESなど)が原因である可能性が高いです。
このような場合は、自社でWebサービスやアプリを開発・運営している「自社開発企業」への転職を検討するのが有効です。
自社開発であれば、スケジュールの調整がしやすく、ユーザーの反応を直接見ながら開発できるため、働きやすさとやりがいを両立しやすい環境が整っています。
仕事内容が合わないならIT営業やITコンサルへ
「プログラミング自体が苦痛になってきた」「技術のキャッチアップに疲れた」という場合は、エンジニアとしての開発業務から離れ、周辺職種へキャリアチェンジする方法があります。
エンジニアとして培ったIT知識は、ITシステムの導入を提案する「IT営業」や、企業の経営課題をITで解決する「ITコンサルタント」といった職種で重宝されます。
開発現場での実務経験がある営業やコンサルタントは説得力があり、市場価値も高いため、前向きなキャリアチェンジとなります。
ITエンジニア適性チェックリスト

自分がITエンジニアに向いているか、以下の5つの質問で確認してみてください。
- わからないことがあった時、まずは自分でネット等で調べる癖があるか
- パズルや謎解きなど、論理的に答えを導き出す作業が好きか
- 一つの作業に長時間、集中して取り組むことができるか
- 休日や業務外でも、新しい知識や技術を学ぶことに抵抗がないか
- チームメンバーと適切にコミュニケーションを取り、報告・相談ができるか
上記の質問に「はい」と答えられる項目が多いほど、ITエンジニアとしての適性が高いと言えます。
ITエンジニアに関するよくある質問
ITエンジニアを目指す人からよく寄せられる疑問に回答します。
文系や未経験からでもITエンジニアになれる?
文系や未経験からでもITエンジニアになることは十分に可能です。
論理的思考力やコミュニケーション能力など、文系出身者ならではの強みが活きる場面も多くあります。
ただし、入社前にプログラミングスクールに通ったり、独学で基礎を学んだりして、学習意欲をアピールすることが重要です。
ITエンジニアの平均年収はどれくらい?
厚生労働省の「職業情報提供サイト(job tag)」のデータ等によると、システムエンジニアの平均年収は約550万円〜600万円程度とされています。
ただし、保有するスキルや担当する工程(上流か下流か)、所属企業の規模によって年収には大きな幅があり、高度な専門スキルを持つ場合は1,000万円以上を得ることも可能です。
どのようなプログラミング言語から学べばいい?
目指す分野によって異なりますが、初心者には文法がシンプルで読みやすい「Python」や、Webサイトの見た目を作る「HTML/CSS」、動きをつける「JavaScript」などがおすすめです。
まずは一つの言語の基礎をしっかり身につけることで、他の言語も習得しやすくなります。
資格は取得しておいた方がいい?
ITエンジニアになるために必須の資格はありませんが、未経験者の場合は、基礎知識を証明するために「ITパスポート」や「基本情報技術者試験」などの国家資格を取得しておくと、就職活動において熱意や知識の証明として有利に働きます。
AIの進化でITエンジニアの仕事はなくなる?
AIが自動でコードを生成する技術は進化していますが、エンジニアの仕事がすぐになくなるわけではありません。
「顧客が本当に求めているシステムは何か」をヒアリングして要件を定義する上流工程や、AIが出力したコードの妥当性を検証・修正する役割は、引き続き人間のエンジニアに求められます。
AIを「脅威」ではなく「便利なツール」として使いこなせるエンジニアの需要は、今後も高まり続けると考えられます。
まとめ

この記事では、ITエンジニアがやめとけと言われる理由や、向いている人の特徴について解説しました。
- 長時間労働や多重下請け構造、継続学習の負担が「やめとけ」と言われる主な理由
- 論理的思考力があり、知的好奇心旺盛で自発的に学べる人に向いている
- わからないことを自分で調べるのが苦痛な人や、大雑把な人には難しさを感じやすい
- プログラムが動いた時の達成感や、社会インフラを支えるやりがいは非常に大きい
- 環境が合わない場合は自社開発企業への転職、仕事が合わない場合はIT営業等への転身も可能
ITエンジニアは最初の壁を乗り越えれば、手に職をつけて長く活躍できる魅力的な職業です。
適性チェックリストで自分に向いていると感じた方は、ぜひ前向きに学習をスタートしてください。
技術の学びを楽しめる人にとって、IT業界は大きな可能性に満ちたフィールドです。









