2026.05.12

介護福祉士とは?仕事内容や年収、資格の取り方をわかりやすく解説

介護施設で高齢者と会話する介護福祉士
介護施設で高齢者と会話する介護福祉士

「介護福祉士って具体的にどんな仕事をするの?」「お給料はどれくらいもらえる?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

介護業界への就職・転職を考える際、資格の有無や実際の待遇は気になるポイントです。

この記事では、以下の5つのポイントについて詳しく解説します。

  • 介護福祉士の具体的な仕事内容と役割
  • 平均年収と給料アップの方法
  • 資格取得のルートと国家試験の難易度
  • 介護福祉士に向いている人・向いていない人
  • 業界の将来性とキャリアパス

厚生労働省などの公的データをもとに、介護福祉士のリアルな実態をお伝えします。

介護福祉士に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

目次

介護福祉士とはどんな仕事か

利用者の手を優しく支える介護福祉士

介護福祉士は、介護を必要とする方の生活を支える専門職です。

ここでは、具体的な役割や仕事内容、働く場所について詳しく解説します。

介護福祉士の概要と役割

介護福祉士とは、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく国家資格であり、介護分野において唯一の国家資格です。

専門的な知識と技術を用いて、高齢者や障害のある方がその人らしい生活を送れるようサポートします。

単に身の回りの世話をするだけでなく、利用者の心身の状態を観察し、自立に向けた支援を行うことが大きな役割です。

また、ご家族への介護指導や、他の介護スタッフへの技術指導など、現場のリーダーとしての役割も期待されています。

具体的な仕事内容

介護福祉士の仕事内容は多岐にわたりますが、大きく分けると以下の4つです。

身体介護食事、入浴、排泄、着替え、移動などの直接的な介助。利用者の身体状況に合わせた安全な技術が求められる。
生活援助掃除、洗濯、調理、買い物など、日常生活に必要な家事のサポート。
相談・助言利用者本人やご家族からの介護に関する相談に乗り、適切なアドバイスや精神的なサポートを行う。
チームマネジメント他の介護スタッフと連携し、より良いケアを提供するためのチーム作りや指導を行う。

これらの業務を通じて、利用者が安心で快適な生活を送れるよう支えるのが介護福祉士の仕事です。

働く場所

介護福祉士の活躍の場は非常に広く、多くの施設や事業所で求められています。

代表的な就業先は以下の通りです。

特別養護老人ホーム(特養)要介護度が高い方が生活する施設で、24時間体制での手厚いケアを提供。
有料老人ホーム民間企業が運営する施設で、自立した方から要介護の方まで幅広い利用者が生活している。
介護老人保健施設(老健)病院から退院した方が在宅復帰を目指してリハビリを行う施設。
訪問介護事業所利用者の自宅を訪問し、1対1で身体介護や生活援助を提供。
デイサービス(通所介護)日帰りで施設に通う利用者に対して、食事や入浴、レクリエーションなどを提供。

このように、施設から在宅まで、自分の希望する働き方に合わせて職場を選ぶことが可能です。

平均年収と給与の実態

介護施設で記録業務を行う介護福祉士

介護福祉士を目指す上で、給与事情は最も気になるポイントの1つです。

ここでは、公的データをもとに、平均年収や無資格者との差について解説します。

介護福祉士の平均年収

厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護福祉士の平均年収は約420万円です。

日本の全産業平均年収が478万円であることを考慮すると、平均より低い水準ではありますが、勤め先によっても変動します。

介護業界は給料が低いというイメージを持たれがちですが、国家資格である介護福祉士を取得することで、安定した収入を得ることが可能です。

また、ボーナスや各種手当が充実している施設も多く存在します。

無資格者・初任者研修との給与差

介護の仕事は無資格でも始められますが、資格の有無によって給与には大きな差が出ます。同調査によると、無資格者の平均年収は約348万円です。

つまり、介護福祉士と無資格者では、年間で約70万円もの収入差が生じることになります。

月額に換算すると約6万円の差となり、長く働き続けるほどこの差は大きくなります。

給料を上げるための3つの方法

介護福祉士としてさらに高い収入を目指すための方法は、主に以下の3つです。

夜勤に入る回数を増やす施設勤務の場合、1回あたり数千円から1万円程度の夜勤手当が支給される。夜勤専従として働くことで、効率的に収入を上げることも可能。
役職に就くフロアリーダーや施設長などの管理職に就くことで、役職手当が加算される。責任は大きくなるが、年収500万円以上を目指すことも現実的。
処遇改善加算が充実した施設を選ぶ国が定めた「介護職員等処遇改善加算」をしっかり取得し、職員に還元している施設を選ぶことが重要。転職の際は、この加算の取得状況を事前に確認するのがおすすめ。

介護福祉士になるには

介護記録を確認する介護福祉士の手元

介護福祉士になるには、国家試験に合格する必要があります。ここでは、未経験から資格を取得するためのルートと、試験の難易度について解説します。

未経験から目指す3つのルート

介護福祉士の国家試験を受験するためのルートは、大きく分けて3つあります。

  • 実務経験ルート
  • 養成施設ルート
  • 福祉系高校ルート

実務経験ルートは、介護現場で3年以上(かつ540日以上)の実務経験を積み、「実務者研修」を修了してから国家試験を受験する方法です。

働きながら給料を得て資格を目指せるため、社会人の転職において一般的なルートです。

養成施設ルートは、高校卒業後に厚生労働大臣が指定する専門学校や大学などで1〜2年間学び、卒業後に国家試験を受験する方法です。

体系的な知識と技術をじっくり学べるため、介護の基礎をしっかり身につけたい方に向いています。

福祉系高校ルートは、福祉系の高校に入学し、定められたカリキュラムを修了して卒業と同時に国家試験を受験する方法です。

高校在学中から専門的な学びを積み上げられます。

社会人から未経験で挑戦する場合は、まずは無資格や初任者研修で介護施設に就職し、実務経験ルートでステップアップしていくのが王道です。

国家試験の難易度と合格率

「国家試験」と聞くと非常に難しいイメージを持つかもしれませんが、介護福祉士試験の難易度はそこまで高くありません。

2026年1月に実施された第38回介護福祉士国家試験の合格率は70.1%でした。

受験者の10人に7人が合格している計算になり、他の国家資格と比較しても合格しやすい傾向にあります。

試験は筆記試験のみ(一部ルートを除く)で、実務経験ルートの場合は実務者研修で基礎を学んでいるため、過去問題を繰り返し解くなどの適切な対策を行えば、働きながらでも十分に合格を狙えます。

介護福祉士に向いている人・向いていない人

施設内でスタッフと話す介護福祉士の後ろ姿

介護福祉士は人と深く関わる仕事であるため、適性があります。

ここでは、介護福祉士に向いている人と向いていない人の特徴を解説します。

向いている人の特徴

介護福祉士に向いている人には、以下のような特徴があります。

  • コミュニケーションを取るのが好きな人
  • 相手の小さな変化に気づける観察力がある人
  • 体力と精神的なタフさがある人

介護の仕事は、利用者との信頼関係を築くことがすべての基本です。

お年寄りの話を丁寧に聞き、笑顔でコミュニケーションを取れる人は大きな適性があります。

また、利用者の体調のわずかな変化に気づき、迅速に対応する観察力も大切です。

身体介助には体力が必要であり、時には思い通りにいかない状況でも前向きに取り組める精神的なタフさも求められます。

向いていない人の傾向

一方で、以下のような特徴を持つ人は、介護福祉士の仕事に難しさを感じやすい傾向があります。

  • 極度の潔癖症である人
  • チームで協力して働くのが苦手な人

介護の現場では、排泄介助や入浴介助など、他人の身体に直接触れる業務が日常的に発生します。

そのため、極度の潔癖症の人は強いストレスを感じる可能性があります。

また、介護は一人で行うものではなく、看護師やケアマネージャーなど他職種との連携が不可欠です。

自分のペースだけで仕事を進めたい人や、チームでの情報共有が苦手な人は、現場で苦労することが多いです。

ただし、これらは意識次第で克服できる部分もあるため、最初から諦める必要はありません。

介護福祉士の将来性とキャリアパス

自然に囲まれた介護施設の庭園風景

介護業界への転職を考える際、その仕事が将来にわたって安定しているかどうかは重要な判断基準です。

ここでは、介護福祉士の将来性とキャリアパスについて解説します。

介護人材不足と圧倒的な需要

結論から言うと、介護福祉士の将来性は高く、仕事に困らないでしょう。

日本の高齢化は急速に進んでおり、介護サービスの需要は年々増加しています。

厚生労働省のデータによると、2026年度には全国で約240万人の介護職員が必要とされていますが、現状のままでは約25万人もの人材が不足すると予測されています。(出典:厚生労働省「介護人材確保に向けた取組」

実際に、介護関係職種の有効求人倍率は約4倍(全産業平均の3倍以上)という高い水準で推移しています。(出典:厚生労働省「介護人材確保の現状について」

この「圧倒的な売り手市場」は、求職者にとって大きなメリットです。

国家資格である介護福祉士を持っていれば、全国どこでも、自分の希望する条件に近い職場を選びやすくなります。

ケアマネージャーや施設長へのキャリアアップ

介護福祉士を取得した後のキャリアパスも豊富に用意されています。

現場のスペシャリストとして専門性を極める道だけでなく、以下のようなステップアップが可能です。

ケアマネージャー(介護支援専門員)介護福祉士として5年以上の実務経験を積むと、ケアマネージャーの受験資格が得られる。ケアプランの作成などを行う専門職で、さらなる年収アップが期待できる。
管理職(施設長・エリアマネージャー)現場のリーダー経験を活かし、施設の運営やスタッフのマネジメントを担うポジション。経営に関わることで、年収600万円以上を目指すことも可能。
認定介護福祉士介護福祉士の上位資格として、より高度な専門知識とマネジメント能力を証明する資格。

このように、介護福祉士は「ゴール」ではなく、さらに上のキャリアを目指すための「スタートライン」としての役割も果たします。

よくある質問(FAQ)

介護福祉士を目指す方からよく寄せられる質問に回答します。

介護福祉士は夜勤なしでも働けますか?

はい、夜勤なしでも働けます。

デイサービス(通所介護)や訪問介護など、日中のみ営業している事業所を選べば、夜勤なしのシフトで勤務可能です。

また、特別養護老人ホームなどの入所施設でも、契約時に「日勤のみ」という条件で採用されるケースが増えています。

ライフスタイルに合わせた働き方が選びやすいのが介護職の特徴です。

試験に落ちたらどうなりますか?

試験に不合格だった場合でも、翌年以降に何度でも再受験が可能です。

実務経験ルートの場合、働きながら受験している方がほとんどなので、不合格になっても現在の仕事を失うわけではありません。

ただし、資格手当の支給は合格後になるため、計画的に勉強を進めて一発合格を目指すことをおすすめします。

男性でも活躍できる仕事ですか?

男性も大いに活躍できる仕事です。

介護現場では、体力を要する身体介助や、男性利用者からの同性介助の希望など、男性スタッフの需要は高いです。

実際に多くの男性が介護福祉士として働いており、将来的に施設長などの管理職を目指す方も少なくありません。

腰痛など体への負担は大きいですか?

身体介助を伴うため、体への負担が全くないとは言えません。

しかし、近年は「ノーリフティングケア(持ち上げない介護)」が推進されており、介護リフトやスライディングボードなどの福祉用具を導入する施設が増えています。

正しい身体の使い方(ボディメカニクス)を学び、用具を活用することで、腰痛のリスクは大幅に軽減できます。

AIやロボットに仕事を奪われませんか?

介護福祉士の仕事がAIやロボットに完全に奪われることはないでしょう。

見守りセンサーや記録業務の自動化など、IT化によって業務の負担は軽減されていますが、利用者の微妙な感情の変化を読み取ったり、温かい言葉をかけたりする「人間ならではのケア」は機械には代替できません。

むしろ、AIを活用することで、より人間にしかできないケアに集中できるようになると考えられています。

まとめ

介護施設を歩く介護福祉士の足元と利用者の様子

介護福祉士は、高齢化社会を支える不可欠な存在であり、国家資格としての高い信頼性と安定性を持っています。

何より、利用者からの「ありがとう」という言葉を直接受け取れる、社会貢献度の高いやりがいのある仕事です。

この記事で解説した介護福祉士のポイントを整理します。

  • 介護福祉士は介護分野唯一の国家資格で、専門的な知識と技術で利用者の自立を支援する専門職
  • 平均年収は約420万円で、無資格者と比べると年間約70万円の収入差がある
  • 国家試験の合格率は70.1%で、実務経験ルートなら働きながら資格取得を目指せる
  • 2026年度に約25万人の人材不足が見込まれ、求人倍率は全産業平均の3倍以上と圧倒的な売り手市場
  • ケアマネージャーや施設長など、資格取得後のキャリアアップの道も幅広い

介護業界への転職を考えている方は、ぜひ介護福祉士を目標に第一歩を踏み出してみてください。

この記事を書いた人

池田喜久代のアバター
ウイメンズクリエーターズ・アズ代表
ライター/コピーライター/プランナー
テレビ局の短期契約社員から、広告代理店の企画制作部、SP部を経てフリーランスに。
平成10年より、ウイメンズクリエーターズ★アズの屋号で、育児用品の商品開発。住宅展示場のイベントプランナー、大手粉メーカーのベーカリー紹介サイトを立ち上げから200件以上取材し紹介。
製造業で働く人、エンジニア、パティシエ、和菓子職人、美容師、エステティシャン、歯科医、腫瘍内科医局長、理学療法士、税理士など、さまざまな職業人を取材執筆してきた経験が豊富。

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