2026.05.09

運行管理者とは?役割や年収、資格の取り方をわかりやすく解説

「運行管理者って、どんな仕事をするの?」「資格は難しいの?」「ドライバーから転職できる?」そんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

運行管理者は、トラックやバスの安全運行を管理する国家資格を持つ専門職です。

法律で配置が義務付けられているため、運送業界では常に需要がある安定した職種ですが、「実際の仕事内容」や「向き不向き」まで詳しく解説した情報は意外と少ないものです。

この記事を読むことで、以下のことがわかります。

  • 運行管理者の仕事内容と、貨物・旅客の違い
  • 平均年収と、収入アップの方法
  • 資格取得の2つのルートと、試験の合格率
  • 向いている人・向いていない人の特徴と、未経験からのキャリアパス

運行管理者への転職やキャリアアップを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

運行管理者とは?役割と資格の概要

運行管理者とは、事業用自動車の安全な運行を管理するスペシャリストのことです。

運送業界の安全を根底から支える、責任あるポジションを担っています。

運行管理者の役割と配置義務

運行管理者の主な役割は、ドライバーが安全に業務を遂行できるよう管理・監督することです。

道路運送法などの法律により、貨物や旅客の運送業においては、営業所ごとに一定台数以上の車両を保有する場合、運行管理者の配置が義務付けられています。

運送会社が事業を行う上で、運行管理者は法律上不可欠な存在であり、安全輸送の責任者として、日々ドライバーの健康状態や車両の状況に目を配っています。

貨物と旅客の2つの種類

運行管理者の資格は、大きく「貨物」と「旅客」の2種類に分かれています。

貨物はトラックなどの貨物自動車運送事業を対象とし、旅客はバスやタクシーなどの旅客自動車運送事業が対象です。

それぞれ扱う対象が異なるため、試験内容や必要な知識も異なります。

自分がどちらの業界で働きたいかによって、取得する資格の種類が変わる点に注意が必要です。

種類対象事業主な職場
貨物貨物自動車運送事業トラック会社、宅配会社など
旅客旅客自動車運送事業バス会社、タクシー会社など

運行管理者の具体的な仕事内容

運行管理者の仕事内容は多岐にわたりますが、中心となるのはドライバーと車両の安全管理です。

ここでは、具体的な3つの業務について解説します。

乗務前後の点呼と健康管理(労務管理)

最も優先度が高い業務の一つが、乗務前後の点呼です。

ドライバーの健康状態や疲労度、アルコール帯びの有無を対面などで確認し、安全に運転できる状態かを判断します。

少しでも体調に不安がある場合は、乗務を中止させるなど、厳格な判断が求められます。

ドライバーの命と、道路の安全を守る最前線の業務です。

乗務割(シフト)の作成と運行ルート管理

ドライバーの労働時間や休息期間を定めた労働基準法や改善基準告示を遵守し、適切な乗務割(シフト)を作成するのも運行管理者の仕事です。

過労運転を防ぎつつ、効率的に荷物を運べるよう、無理のない運行ルートを指示します。

天候や交通状況に応じた臨機応変な対応も求められる業務です。

車両の点検・管理

車両の故障やトラブルを未然に防ぐため、日常点検が確実に行われているかを確認し、管理します。また、車検や定期点検のスケジュール管理も業務の一つです。

車両の不備は重大な事故に直結するため、日頃からの細やかなチェックが欠かせません。

整備管理者と連携しながら、常に安全な車両を提供できる体制を整えます。

平均年収はどれくらい?

転職やキャリアアップを考える上で、収入面は気になるところです。

ここでは、運行管理者の給与事情について解説します。

平均年収は300〜400万円

中小企業に勤める運行管理者の平均年収は300〜400万円です。大手企業に勤める場合、600万円以上に増えることも。

勤める企業によって給与が大きく変わる職種と言えます。

ドライバー職と比較すると、歩合給の割合が低く、固定給の割合が高い傾向にあります。そのため、毎月の収入が安定しており、体力的な負担も少ないのが特徴です。

資格手当や役職手当で収入アップが可能

運行管理者の資格を持っていると、月に5,000円から3万円程度の資格手当が支給される企業が多いです。

また、深夜や早朝の点呼業務を行う場合は、深夜手当等も加算されます。

さらに経験を積み、統括運行管理者や営業所長などの管理職に昇進すれば、役職手当がつき、年収600万円以上を目指すことも十分に可能です。

資格を武器に、着実なキャリアアップが図れる職種です。

資格取得のルートと難易度

運行管理者になるためには、国家資格の取得が必要です。

ここでは、資格取得のための2つのルートと、試験の難易度について解説します。

運行管理者試験を受験する(最短ルート)

一般的なのが、運行管理者試験を受験して合格するルートです。

受験資格を得るには、「運行管理の実務経験が1年以上あること」または「自動車事故対策機構(NASVA)などが実施する基礎講習を受講すること」のいずれかを満たす必要があります。

試験はCBT方式(パソコンを使った試験)で実施されます。公益財団法人運行管理者試験センターの発表によると、2025年度の合格率は貨物部門で38.9%、旅客部門で38.3%でした。

しっかりと対策をすれば十分に合格可能な難易度です。

実務経験と講習で取得する(無試験ルート)

試験を受けずに資格を取得するルートもあります。

運送会社で運行管理の補助者として5年以上の実務経験を積み、その間に基礎講習1回を含む計5回の講習を受講することで、資格を取得できます。

時間はかかりますが、試験が苦手な方にとっては確実な方法です。

ルート条件期間の目安
試験合格ルート実務経験1年以上 または 基礎講習受講数ヶ月〜1年
無試験ルート実務経験5年以上+講習5回受講5年以上

向いている人・向いていない人の特徴

これまでの内容を踏まえ、運行管理者に向いている人とそうでない人の特徴をまとめました。

あなた自身の適性と照らし合わせてみてください。

向いている人の特徴

運行管理者に向いているのは、責任感が強く、人との関わりを大切にできる人です。

ドライバーの命と安全を預かる仕事であるため、強い使命感が求められます。

また、ドライバーや荷主、他部署と円滑に連携するためのコミュニケーション能力も不可欠です。

さらに、綿密な計画を立てつつ、急なトラブルにも冷静に対処できる柔軟性も重要です。

「段取り上手で、人の役に立つことが好き」という方には、特に向いている仕事と言えます。

向いていない人の特徴

一方で、人と関わるのが苦手な方や、細かいルールを守るのが苦手な方には、難しさを感じやすい傾向があります。

常に人とコミュニケーションを取る仕事であるため、一人で黙々と作業したい人にはストレスになりやすいです。

また、法律や規則を厳格に遵守することが求められるため、「ルールの枠に縛られるのが嫌い」という方も、業務上の制約に窮屈さを感じるかもしれません。

運行管理者の将来性とキャリアパス

物流・運送業界は今、大きな転換期を迎えています。

ここでは、運行管理者の将来性と、未経験からのキャリアパスについて解説します。

「物流の2026年問題」で高まる需要

物流業界では、改正物流効率化法によって荷主企業に新たな法的義務が課され、さらなる輸送力不足とコスト増が予想される2026年問題があります。

それに伴い、適切な労務管理と効率的な配車を行える運行管理者の需要は高まっています。

資格保有者は市場価値が高く、将来にわたって安定したニーズが見込まれる職種です。

未経験からでも挑戦できる?

運行管理者は、未経験からでも十分に挑戦可能な職種です。

多くの運送会社では、無資格・未経験から「運行管理補助者」として採用し、働きながら資格取得を目指せる支援制度を設けています。

内勤中心の業務であるため、体力的な負担が少なく、年齢を重ねても長く働き続けられるのが大きなメリットです。

ドライバーからのキャリアチェンジはもちろん、他業界からの転職先としても魅力的です。

よくある質問(FAQ)

運行管理者について、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。

Q1. 運行管理者の資格に有効期限や更新はありますか?

運行管理者資格証自体に有効期限や更新手続きはありません。

ただし、選任された運行管理者は、2年に1回(新規選任時はその年度内)「一般講習」を受講する義務があります。

Q2. 女性でも運行管理者として活躍できますか?

はい、十分に活躍できます。

体力仕事ではなく、コミュニケーション能力や細やかな気配りが求められるため、女性の運行管理者は年々増加傾向にあります。

Q3. ドライバー経験がなくても運行管理者になれますか?

はい、なれます。

基礎講習を受講すれば受験資格を得られるため、未経験から試験に合格して活躍している人も多数います。

Q4. 運行管理者試験の勉強時間はどのくらい必要ですか?

個人差はありますが、一般的に50時間から100時間程度の勉強時間が必要と言われています。

1日1時間の勉強を2〜3ヶ月続けるイメージです。

Q5. タクシー業界とトラック業界で仕事内容に違いはありますか?

基本的な安全管理の業務は同じですが、対象が「人」か「物」かで異なります。

タクシー(旅客)は接客やクレーム対応の比重が大きく、トラック(貨物)は荷主との調整や荷待ち時間の管理などが重要になります。

まとめ

運行管理者は、運送業界の安全と効率を支える重要なポジションです。

責任は重いですが、その分大きなやりがいと安定した収入が得られる魅力的な仕事と言えます。

  • 法律で配置が義務付けられた国家資格
  • 平均年収は300〜400万円で、手当による収入アップも可能
  • 未経験からでも挑戦できる

物流業界のコンプライアンスが重視される中、運行管理者の価値は今後さらに高まっていくでしょう。

興味を持たれた方は、資格取得支援制度のある企業の求人をチェックするなど、まずは一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

池田喜久代のアバター
ウイメンズクリエーターズ・アズ代表
ライター/コピーライター/プランナー
テレビ局の短期契約社員から、広告代理店の企画制作部、SP部を経てフリーランスに。
平成10年より、ウイメンズクリエーターズ★アズの屋号で、育児用品の商品開発。住宅展示場のイベントプランナー、大手粉メーカーのベーカリー紹介サイトを立ち上げから200件以上取材し紹介。
製造業で働く人、エンジニア、パティシエ、和菓子職人、美容師、エステティシャン、歯科医、腫瘍内科医局長、理学療法士、税理士など、さまざまな職業人を取材執筆してきた経験が豊富。

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