デジタルノマド・Akinaさんに聞く、「自由」を生きるための「覚悟」

デジタルノマドとして世界を旅するAkinaさんの人生は、常に「自由」というテーマと深く結びついています。しかし、その自由は、時に予期せぬ困難や、心の奥底に潜む「怖さ」と向き合うことでもあります。前回の記事では、Akinaさんがデジタルノマドという生き方を選ぶに至った背景、そしてその原動力となった「一度きりの人生だからやりたいことをやろう!」という強い決意に迫りました。

今回の第2回では、Akinaさんが南アフリカで経験した衝撃的な出来事、そしてそれが彼女の旅のスタイルと「自由」に対する考え方にどのような変化をもたらしたのかを深掘りします。命の危険に直面しながらも、Akinaさんが手に入れた「自由」を生きるための「覚悟」とは何だったのでしょうか。

目次

ナイフを突きつけられた南アフリカでのとある一日

デジタルノマドとして生きていくというAkinaさんの思いは、その行動力と強い意志で着実に実現していきましたが、常に順風満帆であったというわけではありません。世界を旅していると、まさか!が現実になる瞬間があります。南アフリカでの恐ろしい災難は、その中でもAkinaさんの心に深く刻まれた想定外の出来事でした。

それは、正午を少し過ぎた頃、白昼堂々での出来事です。買い物終わりの道で、突然男性にナイフを突きつけられ、iPhoneを奪われるという、想像を絶する恐怖に直面します。文字にすると一行ですが、実際には時間がねじれたような、長い長い数秒だったそうです。本当に、“吐き気がする恐怖”とはこういうことなのだと、Akinaさんはしみじみと振り返ります。

iPhoneは、仕事道具であり、旅の記録であり、人とのつながりそのもの。まして南アフリカで、同じものをすぐに調達することはできません。iPhoneがなかったら仕事もできない、帰り道もわからない。盗られた瞬間は気が動転し、体が震えて動かない……、頭の中がぐるぐると回り、 どうしようもない状態でした。

それなのに、なんと!Akinaさんは必死に犯人を追いかけていたのです。話すと長いストーリーにはなりますが、命の危険と紙一重の状況で、結果的にiPhoneとAirPodsを始めとした事件現場に取り残された全てのものは、すべて近所の方が確保し、無事アキナさんの手元に戻ってきました。この時の傷跡は今も膝に残り、忘れられない教訓となっています。

それなのに、なんと! Akinaさんは必死に犯人を追いかけていたのです。話すと長いストーリーにはなりますが、命の危険と紙一重の状況で、結果的にiPhoneも現金もすべて取り戻しました。腕には今もそのときの傷跡が残り、忘れられない教訓となっています。

「これで旅をやめないで!」──現地の人々に救われ

この事件をきっかけに、頻繁に警察から連絡が来る日々が続きます。心が落ち着かない状況に、もはや何も信じられなくなるほど理不尽な出来事が続きました。心が完全に折れかけ、「なんでこんな目にあうのだろう」と何度も涙を流し、まさに自暴自棄となり自分を支えられない状態が続きます。

そんなとき、Akinaさんを支えたのは人の温かさでした。現地で助けてくれた人たち、そして日本にいる仲間たちの存在がどれだけありがたかったことか。そして、そのうちの一人である、現地の方がかけてくれた「これが理由で、旅をやめることだけは、どうかしないでほしい」という言葉が今も胸に残っているそうです。身も心も深く傷ついた事件ではあったけれど、「この出来事で旅を終わりにするのではなく、何かを変えるサインとして受け取ろう」Akinaさんがそう決めた瞬間、どん底の闇に光が降り注ぎ、再び立ち上がることができたのでした。

環境を変えるという選択――「バックパッカー卒業」のサイン

「一番早いのは、住環境を変えることだよ」と信頼できる方々からアドバイスをいただき、自分の身を守る環境に投資するタイミングが来たのだと受け止めることができました。

早速、コリビング(住居とコワーキングが一体になった場所)に滞在してみることにしました。そこで出会ったのは、これまでとは違う層の人たちです。価値観の似た仲間、既にビジネスを動かしている起業家、次のステージを見据えるノマドたち。安さで選ぶ旅から、誰と過ごすかで選ぶ旅へ。

「事件そのものはつらかったけれど、あれがなかったら、環境を変える決意はできなかった」つらい出来事は終わりではなく「次のステージへの案内状」だったのかもしれません。

「自由」を生きるための「覚悟」

旅を続けるなかで、Akinaさんは「自由」というテーマにも深く向き合うことになります。多くの人は自由になることを求めている一方で、いざ自由を与えられると、どうしていいか分からなくなる人も少なくありません。Akinaさんの友人にも、会社員時代に「もっと自由に働きたい」と願っていたものの、いざ裁量を与えられると「何をしたら良いのか指示された方が働きやすい」と感じる人がいたそうです。

これは、自由が持つもう一つの側面を示しています。自由とは、自分で選択し、その結果に責任を持つこと。それは時に、大きな不安を伴います。5年以上かけて世界中を回り、自由を謳歌している人々と実際に出会ってきたAkinaさんの言葉には、その重みが宿っています。

「自由とは、いざ与えられると、どうして良いのか分からないと感じる人が多い印象を受けます。自分で選んで、自分で責任を取らないといけないから。だからこそ、自由に動けない自分を責めるのではなく、少しずつ選ぶ練習を重ねていくことが大切なんです」

この言葉は、キャリアに悩む多くの人たちに、勇気と示唆を与えてくれるでしょう。自由を求めることは、決して簡単な道のりではありません。しかし、5年以上かけて世界中を回り、自由を謳歌している人達と実際に出会っているAkinaさんの言葉を嚙みしめることで、私たちは自分らしい自由を手にすることができるのかもしれません。

日本社会の「目に見えないプレッシャー」に気づく

Akinaさんは旅から日本に戻るたび、日本は本当にすばらしい国だと実感するそうです。治安の良さ、食の豊かさ、インフラの整い方。世界を見たからこそわかる、日本の良さをたくさん実感しました。

その一方で、どうしても気になるのが「べき論」の強さです。何歳だから、結婚しているべき、日本人なんだから、ちゃんとしているべき。こうあるべきという目に見えない社会のプレッシャーが、知らないうちに人を縛りつけていたことに気づきます。

「東京は、人が多いのに孤独を感じやすい街。安全だけれど、助けを求めることに、どこか遠慮がつきまとってしまいます。」

今の日本社会の中で息苦しさを抱えている人には、世界に目を向けたら別の選択肢もあることをAkinaさんの生き方から感じてもらえたら、小さな希望になるのかもしれません。

行動するからこそ、人生が動き出す!

人間は、“やらない理由”を考える天才です。旅に出ない理由は、お金がない、忙しい、外国語が喋れない、親や友人、周りの近しい人に反対されるなど、挙げればきりがありません。会社を辞めない理由、新しい挑戦をしない理由――Akinaさんは、常に先に行動をしてから、やらざるおえない状況を作り上げていました。

ジョージアに行きたいと思ったら、先に片道のチケットを買う、そこから行動開始!宿探しとコミュニティー探し。やるしかない状況に、どんどん自分を追い込んでいきます。こんな行動がとれる背景には、誰に何を言われても動じない「鈍感力」があったといいます。つらい経験も、失敗も、涙も何かを変えるサインとして受け止めることで、Akinaさんの旅は、今日も静かに、しかし力強く続いています。

次回予告

大盛況となった福岡のノマドフェス、全力でやりきった中で、出会いと別れを繰り返し、達成感を覚え始め……、Akinaさんは夢と野望を胸に秘め、次なるステージに向かいます。

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