ネイリストとは? 指先からおしゃれセンスを発信

ふとした瞬間に、自分の指先を見てしまうことはありませんか?パソコンのキーボードに手を置いたとき。スマートフォンを操作しているとき。コーヒーカップを持ち上げたとき。ほんの数センチの世界なのに、指先が整っているだけで、なぜか背筋が伸び、少し自信が湧いてきますよね。

ネイリストという仕事は、そんな「小さな変化が心まで届く瞬間」を、何度も生み出していく仕事です。派手さだけではなく、日常に溶け込みながら、人の気持ちをそっと前向きにします。

ネイリストは、爪を美しく整える専門職であり、爪の形や厚み、生活習慣までを見ながら、その人に合った施術を考えます。爪は小さなパーツですが、とても繊細です。だからこそ、ネイリストは「デザイン」と同時に「ケア」も担います。見た目の美しさと、安心して過ごせる状態、その両方をつくることが、ネイリストの役割です。女性が憧れる人気の仕事でもあるネイリストについて、具体的にどのような働き方があるのかを見ていきましょう。

目次

ネイリストの働き方は、サロン勤務か独立開業か

ネイリストとしての働き方には、大きく2タイプあります。

1.「専門店で働く」

ネイリストになるためには、ネイルサロンに勤務して技術を磨くことから始まります。
プロの現場でチームの一員として働けるので、多くの先輩から直接指導を受けられ、最新のトレンドや商材に触れる機会が豊富です。また、幅広い顧客層に対応することで、対応力が自然と身につきます。集客や予約管理、備品の補充などは会社や店長が行うため、ネイリストは「施術」と「接客」に集中できる環境が整っています。固定給をもらいながら働くことが一般的であるため、安定した収入を得ながらキャリアを積めるのが魅力です。

2.「独立開業する」 

自宅サロンやシェアサロン、店舗を借りて自分のお店を持ちます。自分の理想を形にする、オーナー兼ネイリストとしてのスタイルです。自分の好きなコンセプトで店作りをし、メニュー内容や使用するジェルのブランド、価格設定、営業時間などをすべて自分で決められます。人気が出ればサロン勤務時代よりも高い収入がめざせます。

ネイリストからネイルアーティストへ

ネイリストのなかには、ネイルアーティストになる人もいます。ネイルアーティストは、単に爪を綺麗にするだけでなく、自分の感性や技術を「作品」として発信する表現者としての側面が大きくなります。

「クリエイティブ制作」では、雑誌の表紙、広告、ファッションショー(ランウェイ)などでモデルの爪を演出します。ブランドの世界観を指先で表現する高度なセンスが求められます。

「チップ・製品開発」では、オーダーメイドのネイルチップ制作や、ネイルブランドと提携して新しいジェルの色、シールのデザインなどをプロデュースします。

「講師・セミナー活動」では、自分の得意なアート技法を他のネイリストに教えるセミナーを開催したり、オンラインサロンを運営したりします。

「コンテストへの挑戦」では、国内外のコンテストに出場し、芸術性を競います。入賞することで世界的に名前が知られるチャンスもあります。

ネイルアーティストの働き方として多いのは2つです。1つは特定のサロンに所属しながら「指名」を受ける形をとるケース。もう1つは、完全にフリーランスとして事務所やエージェントと契約をするケースです。

ネイリストが担当するネイル施術のメニュー例

ネイルサロンで提供しているメニューをご紹介します。

  • ネイルケア:爪の形を整え、甘皮処理を行い、自爪を健康に美しく保つ
  • ジェルネイル:専用のライトで硬化させる樹脂。持ちが良く、現在主流のメニュー
  • スカルプチュア:アクリル等を使用して長さを出す技術
  • フットネイル:足の爪のケアやカラーリングを行う

現行はジェルネイルが主流ですが、目的や爪の状態に合わせて以下のメニューを使い分けます。

  • ポリッシュ(マニキュア):除光液で簡単に落とせるため、一時的に楽しみたい方向け
  • アクリルスカルプチュア:アクリルリキッドと粉末を混ぜて作る人工爪。硬度が高く、劇的な長さ出しや形の矯正が可能。
  • ネイルケア(マニキュア):色を塗らず、お湯で甘皮をふやかして丁寧に除去し、爪の形を整える。地爪の健康を育てる土台となる。

ネイリストが担当する、安全とカウンセリングの重要性

ネイリストは顧客や爪の質により、以下のような点に注意が必要です。

  • 爪の厚みや状態:薄い爪には負担の少ないベースを選び、グリーンネイル(カビの一種)などの疾患がないか確認する。
  • アレルギー:使用する溶剤やジェルに対するアレルギー反応がないか、事前のヒアリングが必要。

爪は人によって、本当に違います。薄い爪、割れやすい爪、二枚爪、深爪。だからこそ、同じ施術が通用するわけではありません。爪が弱い人には、負担をかけない施術を選びますし、長さや形も慎重に決めます。「できない」と断るのではなく、「どうすれば続けられるか」を一緒に考える姿勢が信頼につながります。困難な爪の状態に寄り添い、少しずつ改善していく過程には、大きなやりがいがあるのです。

エステや美容院でネイルメニューの導入も

エステ・美容院では、カットやカラーの待ち時間に「同時施術」として導入されることが多く、顧客満足度と客単価の両方を高める戦略が取られています。収益性をあげるには、単価アップ(オプション追加)、回転率の向上、店販品(オイル等)の販売などがありますが、何よりもリピート率を高めることが鍵です。

エステサロンや美容院のメニューとしてネイルを導入する背景には、髪や肌と同じように、指先もトータルで整えたいというニーズが高まっているからです。ワンストップでケアできる安心感は、顧客にとって大きな魅力といえるでしょう。ネイリストにとっても、他の美容分野と連携することで、新しい視点や学びが生まれます。

セルフネイルとネイリストとの共存

近年、自分で楽しむセルフネイル派も増えていますが、プロのネイリストは「自分ではできない高度なアート」や「徹底したケアと持ちの良さ」を提供することで差別化を図っています。また、セルフ派向けに「正しい知識を教えるレッスン」を開催するサロンも増えています。
セルフネイルが広まったことで、「仕事が減るのでは」と不安に思う人も少なくありません。しかし実際には、共存が進んでおり、セルフで楽しむ人ほど、「ここはプロに任せたい」という場面を知っています。爪が傷んだとき、デザインを一新したいとき、特別な日の前など。ネイリストの価値は、仕上がりだけでなく、安心感にもあります。

ネイリストという仕事がくれるもの

ネイリストという仕事は、繊細で、クリエイティブで、そして確かな価値を持つ仕事です。指先を見るたびに、少し気分が上がる。その小さな積み重ねが、人の生活を変えていきます。一般の人が憧れて「やってみたい」と思う理由も、爪に悩みを抱える人が救われる理由も、ここにあります。

指先から始まるこの世界を、少しのぞいてみたくなったなら、そのワクワクは、もう立派なスタート地点かもしれません。

この記事を書いた人

お仕事図鑑は、働く人の“リアルな経験とストーリー”を通して、未来のキャリアに役立つ視点を届ける「働くストーリーメディア」です。体験談・取材・インタビューなど複数の形で、1万5,000人以上の働く人の声を蓄積してきました。肩書きや仕事内容の説明だけでは見えにくい、仕事を選んだ理由、続ける中での葛藤、転機での判断、価値観の変化。そうした“プロセスのリアル”を丁寧に編集し、読者の気づきを次の一歩につなげるヒントとして届けます。

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