ヘアスタイルで明日を変える「美容師」という仕事

美容室を出たあと、思わず鏡をもう一度のぞいてしまうものですよね。さっきまでとは違う表情で、今の自分を少し誇らしく感じる瞬間です。髪型が変わっただけなのに、気分まで切り替わる、その変化を目の前で迷いなく創っているのが美容師です。ハサミを動かす手は速く、無駄がなく、会話をしながらも仕上がりのイメージはぶれないように、頭の中にある感覚をその場で形にしていきます。クリエイティブな感性が必要な仕事であり、自分の感性や工夫がそのまま人の印象になり、次に選ばれる理由になります。そうやって価値が積み重なっていく働き方には、自然とワクワクしてしまいますよね。そんな美容師という仕事の中身を、お伝えしていきます。

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美容師って、結局どんな仕事をしているの?

美容師は、単に髪を切るだけでなく、一人ひとりの顔立ちや骨格、ライフスタイルに合わせてヘアスタイルを設計(デザイン)する専門家です。お客様が持つ美しさを引き出し、日常に自信と彩りを与えるクリエイティブな役割を担っています。

美容師は、髪を扱っていますが、実際の現場で向き合っているのは、髪そのものよりも「人」です。この人はどんな雰囲気を持っていて、どんな場所に立ち、どんなふうに見られたいのか? そうした背景をイメージしながら、ヘアスタイルとして形にしていきます。

カット、カラー、パーマ、トリートメントといった技術は、すべてそのための手段です。完成するのは髪型ですが、整っていくのはその人の印象であり、時には気持ちそのものです。

美容師は、人の印象を預かる仕事だと言ってもいいでしょう。

似合わせヘアならお任せ! イメチェンが得意! など、その美容師ならではの強みもあります。その美容師でないとできないヘアスタイルもあり、その場合は圧倒的なファンを掴んでいます。

美容師になるまでの道のりは、資格取得、現場で修行

美容師になるには、厚生労働大臣が指定する専門学校を卒業し、国家試験に合格してライセンス(免許)を取得する必要があります。

資格取得後はサロンに就職し、まずは大型店などで「アシスタント」として修業を開始。シャンプーやトリートメント、受付業務から始まり、カラーやパーマ、そして最終的にはカットや仕上げも担当。数年かけてステップアップしていきます。時間はかかりますが、その分、実感を伴って成長していけます。

資格はなく未経験でも、現場に飛び込んでいき、見習いから始めて後でライセンスを取る方もいます。その場合は、資格がないのでカットはできません。接客、シャンプー、掃除などの雑用も含めて修行します。ライセンス取得をめざし、資格をとったらカットも担当できるようになります。

美容師に向いているのは、こんな人

美容師に向いているのは、特別に器用な人や、センス抜群の人だけではありません。あえて言うなら面倒見がいい人でしょうか。人のことをよく見ていて、相手の小さな変化に気づいたり、言葉にされていない気持ちを想像してしまったり。そうした感覚を自然に持っている人は、美容師という仕事で力を発揮します。

反対に、人にあまり興味が持てない人には、続けるのが難しい仕事かもしれません。技術だけでは乗り越えられない場面が多く、人と向き合う姿勢そのものが問われるためです。

いずれにしても美容師の仕事は、結果がすぐに表に出ます。鏡を見た瞬間の反応が、その日の答えになります。うまくいった日は言葉にしなくても伝わりますし、うまくいかなかった日は空気で分かります。ごまかしのきかない仕事だからこそ、簡単ではありません。

ただ、髪型が変わったあと、その人の表情や姿勢までパッと明るく変わる瞬間を知ってしまうと、それは何ものにも代え難い歓びになります。最近では、撮影用のヘアやSNS、イベントなど、人に見られる場面に関わる機会も増えています。自分の技術や感性が、そのまま誰かの表舞台に出ていく感覚は、この仕事ならではの醍醐味です。

どんな美容師が顧客の支持を得るの?

まずは 圧倒的な「技術力」と「強み」の確立です。技術が美容師の土台です。そして、今の時代は「何でもできる」よりも「これなら誰にも負けない」という専門性(特化型)が成功への近道です。

「再現性の高いカット技術」で、家に帰っても自分で再現できるスタイルを提供できること。

「髪質改善」「ハイトーンカラー」「ショートカット」「白髪ぼかし」など、特定のジャンルで圧倒的な支持を得ること。

そして、SNS・デジタルを駆使した「発信力」が必要です。今は「良い技術があれば勝手にお客が来る」時代ではありません。SNSで自分の得意なスタイルのBefore/Afterを投稿し、「この人に切ってほしい」というファンを作るなど、自分で自分をプロデュースする力が必須です。

継続的に学ぶ姿勢が人間力を養っていく

お客様は「髪を切りたい」だけでなく、「心地よい時間を過ごしたい」「自分の悩みを理解してほしい」という心理的な欲求も持っています。そのために美容師に必要なことをピックアップしてみました。

  • お客様が言葉にできない「なりたい姿」を汲み取るカウンセリング力
  • この人なら任せられるという安心感を与え、生涯顧客(リピーター)を増やす力
  • 時代の先を読む「感性」と「向上心」。
  • セミナーや講習、動画配信サービスなどを活用し、最新の薬剤知識や技術を取り入れる継続的な学びによる力
  • ファッション、メイク、アートなど、髪以外の分野からもインスピレーションを受けることができる、多角的な視点

気になる美容師の年収と、収入のリアル

美容師の年収は、働き方によって大きく変わります。経験や指名の数によって差が出やすく、最初から高収入というわけではありません。ただ、信頼を積み重ねることで安定していき、ベテランになると年収500万円以上を目指す人もいます。

独立開業や、面貸しを利用した働き方など、どんなスタイルで働くかは、自分で選べる時代になっています。美容師のスキルを持って、モデル撮影のスタイリストを担当したり、メイクアップ技術も高めてメイクアップアーティストになる方もいます。

キレイやおしゃれ、ファッショントレンドは自分がつくる!という誰にもできないセンスという芸術の領域に入っていく方もいます。そうなればネームバリューを打ち出せるようになれば年収も大幅にアップする可能性が高いです。

美容師の働き方は美容という世界で幅を拡げている

印象を整えたいという人間の気持ちはなくなりません。美容師は、時代に合わせて形を変えながら、これからも残っていく仕事と言えるでしょう。現状の美容師の活躍の場を整理すると……

●多人数分業制では、カラー、カットなどを別の担当者が行い、回転率を高めるスタイル。
●完全マンツーマンでは、最初から最後まで一人の美容師が担当するスタイル。
●美容室も髪の毛だけにとどまらず、着付けや和装ヘアの専門性を極める人も。
●ヘッドスパ、ネイル、まつ毛パーマ(アイラッシュ)が提供するサロンでは、別途資格を取得する人も。
こうした複合技術を自身ができるようになる人もいれば、プロデューサーとして人材を登用して経営側に回る方もいます。
●プロデューサーとして人材登用するなど、経営側に回る人も。
●商品開発を手掛ける美容師もいて、美容師プロデュースのシャンプー&トリートメントをはじめヘアケアにまつわる商品が数多く発売されています。

この記事を書いた人

お仕事図鑑は、働く人の“リアルな経験とストーリー”を通して、未来のキャリアに役立つ視点を届ける「働くストーリーメディア」です。体験談・取材・インタビューなど複数の形で、1万5,000人以上の働く人の声を蓄積してきました。肩書きや仕事内容の説明だけでは見えにくい、仕事を選んだ理由、続ける中での葛藤、転機での判断、価値観の変化。そうした“プロセスのリアル”を丁寧に編集し、読者の気づきを次の一歩につなげるヒントとして届けます。

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